会津大学、東京科学大学、キオクシア株式会社による共同研究の成果となる論文が、Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE) (*1)が発行する学術論文誌 IEEE Transactions on Computer-Aided Design of Integrated Circuits and Systems (IEEE TCAD)(*2)に採択されました(*3).IEEE TCADは、半導体集積回路の設計手法、設計自動化、設計と製造の最適化技術に関する研究を扱う分野のトップクラスのジャーナルとして広く認識されています。

 採択論文は、会津大学コンピュータ理工学部の小平行秀上級准教授(*4)の指導の下、野中 尚貴さん(現、株式会社ソシオネクスト)、倉持 匡希さん(現、キオクシア株式会社)、東 梨奈さん(現、キオクシア株式会社)が在学中に取り組んだ研究成果に基づくものです。

 本研究では、半導体製造プロセスの重要な一工程であるリソグラフィで使われるフォトマスクの設計を、より正確かつ短時間で行う新しい方法「Guided Local Search for Mask OptimizationGLS-MO)」を開発しました。従来の技術では製造時の回路パターンの正確さ、パターンばらつき耐性、高速な計算処理を同時に実現するのが難しかったのですが、GLS-MOはこれらをすべて高いレベルで達成できる画期的な方法です。今回の研究では、数理最適化や発見的アルゴリズムなどの効率的な計算手法を取り入れたことで、従来よりも短い時間で高品質なマスク設計が可能になり、半導体製造のさらなる精度向上とコスト削減に貢献することが期待されます。

 なお、IEEE TCADQ1ジャーナルに分類されており、SCImago Journal Rank 指標は 0.7252024年)、H-index136です。

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リソグラフィ

*1 Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)

*2 IEEE Transactions on Computer-Aided Design of Integrated Circuits and Systems (IEEE TCAD)

*3 発表論文

掲載誌名: IEEE Transactions on Computer-Aided Design of Integrated Circuits and Systems

著者: Naoki Nonaka, Masaki Kuramochi, Yukihide Kohira, Rina Azuma, Tomomi Matsui, Atsushi Takahashi, Chikaaki Kodama

論文タイトル: Fast Mask Optimization Under Process Variation Using Guided Local Search on Quadratic Programming

論文リンク: https://ieeexplore.ieee.org/document/10949618

*4 小平 行秀 上級准教授

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