会津大学、東京工業大学、キオクシア株式会社は、2022年よりリソグラフィ分野での連携強化を図るため、共同研究契約を締結し、産学連携による当該分野の研究コミュニティの活性化とマスク最適化技術に関する研究開発を推進してきましたが、今般、本学の研究者は、その成果となるオープンソースのリソグラフィシミュレーションツール(以下、本シミュレーションツール)を公開しました。
半導体製造プロセスの一つであるリソグラフィ工程において、微細化を実現するために必要なOPC(Optical Proximity Correction:光学近接効果補正)や照明形状、およびマスクパターン形状の最適化技術を研究するためには、これまでは商用のリソグラフィシミュレーションツールを導入する必要があり、大学などが研究に参入する上で障壁となっていました。東京工業大学とキオクシアによる光学に関する技術支援と、シミュレーション精度の検証方法および高速化のための改善施策についての助言を元に、本学修士2年生の倉持匡希さんと小平行秀上級准教授(*1)が本シミュレーションツールを開発し、GitHub(*2)にて公開しました。本シミュレーションツールの内部構成やシミュレーションの精度検証結果についてはIEEE ACCESSにて出版された論文(*3)に掲載されています。
半導体人材のニーズ・育成が課題となっている中で、本シミュレーションツールを大学等における半導体技術者の育成や教育に無償で活用いただくことで、リソグラフィ分野におけるより実践的な知識とスキルの習得やコミュニティの活性化に貢献します。
光源の照明形状 |
マスクパターン形状 |
本シミュレーションツールにより計算されたウェハ面上の光学像 |
(*1) 小平 行秀 上級准教授
(*3) IEEE ACCESSにて出版された論文