ROBOTICS
ICTの側面から高度なロボット開発を主導
ロボット分野におけるICTジャンルの専門家は貴重であり、会津大学ではソフトウエアの面からロボット開発に貢献している。通信機能を用いた遠隔操作、あるいは異なるロボット同士の協調動作など、ロボットの可能性は大いに高まっている。究極の目標としては地球から操作できる宇宙ロボットの開発があげられる。シビアな状態でのロボット操作が可能になれば、地球上においてのロボットの活用はさらにその幅が広がるに違いない。
ICTを活用したロボット開発の可能性
ロボット分野は会津大学が得意とするICT分野における、最もわかりやすい応用先だ。ネットワークやデータベースといったICTの知識は、ロボット開発に携わる一般の工学系の専門家がなかなか持ち得ない我々独自の強みでもある。会津大学ではICTの側面からロボット開発に貢献している。
これまでのロボット開発は、1台のロボットを賢くする、あるいは早く動かすというところに力が注がれてきた。しかしWi-Fiやインターネット環境が整備された現代においては、複数台で連携して情報交換を行いながら動かすことも可能になった。また、ネットワークを通して遠隔操作ができるロボットもニーズが高まるだろう。ロボット開発におけるICT分野の存在は今後ますます重要になってくる。
ロボット同士をつなぐ「規格」を作る
ロボットには私たちの生活をより便利にする役割が求められる。例えば宅配。ドローンを使った実験も行われているが、大きな荷物を運ぶのなら車輪が付いた移動ロボットが有利だろう。ロボットでコンビニやスーパーから各家庭への荷物の配送が可能になれば、物流は大幅に改善される。買い物が困難になった高齢者の生活をサポートすることもできる。
これらのロボットが全部同じメーカー・同じ機種だったらネットワーク化も比較的容易だ。しかし実際にはメーカーごとに多種多様なロボットが作られるに違いない。その際に、どのメーカーのロボットでも繋がって動けるようなシステムの根幹部分の研究を私たちは進めている。WindowsでもMacでもインターネットには接続できる。私たちはそういった「規格」作りを目指している。開発した技術はどんどん公開する。それらをベースに各方面でブラッシュアップを重ね、デファクトスタンダードとして定着すればよい。それが大学の社会貢献にも合致するに違いない。
宇宙を視野に入れ、より高度な技術を
会津大学には宇宙開発関連の研究者もたくさん在籍している。宇宙との通信では、情報は昔のPHSレベルでしか送れず、時間も大変かかる。しかし、いずれは月面や火星に基地ができる時代になる。地球から操作できる宇宙ロボットを作れれば、それは究極の遠隔操作ロボットだ。そのような技術基盤があれば、地球上ではさらに便利なことができるようになるに違いない。そこまで見越した研究開発を進めている。
華やかで楽しい「開発」ばかりでなく「研究」パート、つまりロボットの安全性などを調査・検証することも必要不可欠だ。シミュレーターの活用で検証スピードは従来に比べ格段に上がっているが、そうした地味な研究がこの分野の根幹を支えている。研究は決しておざなりにしてはいけない大切なパートだ。