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研究概要

本研究室は2020年4月、会津大学適応システム学講座の1つとして発足しました。

現在の情報化社会においてはスマートフォンや家電、インフラ機器など様々なモノがインターネットに繋がるIoT (Internet of Things)という仕組みによって相互に情報を伝達、処理しています。また昨今ニュースなどでも話題になっているように、人工知能 (AI: Artificial Intelligence)も多岐にわたる分野で活用されています。

このような情報化社会の発展には大規模集積回路 (VLSI: Very Large Scale Integration)の飛躍的性能向上が大きく貢献してきました。これまでVLSIはその構成要素であるMOSトランジスタの微細化により高集積化・性能向上を進めてきましたが、ナノスケール (10のマイナス9乗)に微細化されたトランジスタにおいては、素子特性のばらつきや消費電力の問題など様々な限界に直面しつつあります。

当研究ではこのような問題を根本的に解決するため、「不揮発」のVLSI実現に取り組んでいます。 NV-VLSI

従来のVLSIでは基本的に内部の記憶(メモリやレジスタ)は電源をオフにすると消滅する揮発性のものでした。そのため記憶を保持するために常時電源をオンしなければならず、その結果動作が不要な時でも待機電力という無駄な電力を消費し続けてしまいます。この待機電力がナノスケールのトランジスタでは特に深刻となっています。

一方、不揮発のVLSIでは全ての情報が不揮発デバイスに保持されるため動作をさせる必要な無いときは電源をオフにすることが可能であり、また電源をオンにすれば元の状態に瞬時に復帰可能となります。そのため、無駄な待機電力を根本的になくすことができます。

当研究では特に、揮発から不揮発に記憶を置き換えるだけではなく、MOSトランジスタと不揮発デバイスそれぞれの特長を活かした新たな回路技術により更なる高性能化・小面積化に取り組んでいます。

その具体例としてこれまで、汎用の論理VLSIとして産業・研究の分野で幅広く用いられているField-Programmbale Gate Array (FPGA)の研究に取り組み、不揮発Lookup Table (LUT)回路や不揮発フリップフロップ (FF)などの要素回路、それらの要素回路を組み合わせた不揮発FPGAを考案してきました。 NV-FPGA

近年では、不揮発FPGAのポテンシャルを活かしたアプリケーションとして不揮発FPGAベースAIハードウェアの研究に取り組むとともに、大規模不揮発FPGAの実現に向けたCAD (Computer-Aided Design)フロー構築などの研究にも取り組んでいます。

今後、このような不揮発VLSIの持つポテンシャルをさらに活かすためのハードウェアアルゴリズムの研究にも取り組み、また国内外の研究者とともにさらに研究を推進していきたいと考えています。 Research Overview