- 申請区分
- 1. 単独*
- 2. 複数
- 設置形態
- 1. 国立
- 2. 公立*
- 3. 私立
- 4. 特殊法人
- 大学・短期大学名
- 会津大学(郵便番号965-8580)
- 所在地
- 福島県会津若松市一箕町大字鶴賀字上居合90番地
- 設置者
- 福島県
- 学長の氏名(ふりがなローマ字)
- 池上徹彦 IKEGAMI TETSUHIKO
独自テーマを設定する場合のテーマ名
- 応募テーマ
- 1 (主として総合的取組に関するテーマ)
- 取組名称
- 先進的コンピュータ理工学教育
- 申請単位
- 大学全体
1 大学・短期大学の基礎情報
(1)大学・短期大学の特色(概要)
会津大学は、「知の時代」で活躍するIT技術者の養成のニーズを先取りし、平成5年に我が国初のコンピュータ理工学部の単科大学として設置された県立大学である。
本学は、コンピュータソフトウェア学科とコンピュータハードウェア学科を設置している。前者は、アーキテクチャ、分散処理、データベース、コンピュータ・グラフィックスを含むマン・マシン・インターフェース等の専門教育を、後者は高性能なコンピュータ実現の核となるLSI設計に代表されるコンピュータ支援設計技術とインターネットを含む 通信技術を教育しているが、基礎専門科目の大半は共通となっている。
本学では、優秀な教員の国際公募を行っており、この結果、開学当初は外国人教員が半数を超え、現在でも10カ国から41人(45%)の教員が在職している。また、大学院修士課程を平成9年、博士課程を平成11年に開設し、すでに9人の博士を輩出している。
教育プログラムの特徴の第1は、入学初年度から高度な研究分野へ触れる機会を提供するため、自由に研究テーマを選択することができる課外プロジェクトを設けていることである。また、系統的カリキュラムを設定し、きめ細かな学生指導のため、学部学生、大学院生による演習補助員制度を導入している。第2は外国人教員による徹底した英語教育である。多くの専門科目は英語で実施しており、卒業論文を英語で作成することとしている。第3に世界でもトップレベルのコンピュータ環境であり、学生一人1台のワークステーション(WS)が24時間自由に使用できる。
これらの教育の結果、学部卒業生の約3割が本学の大学院に進学し、就職希望の学生の就職率は毎年ほぼ100%を継続している。
(2)大学・短期大学の規模(平成15年5月1日現在)
学部等名、研究科等名または学科名 | 学科(課程)数、専攻数 | 収容定員数 | 在籍学生数 | 専任教員数 |
---|---|---|---|---|
コンピュータ理工学部 | 2学科 | 960 | 1,046 | 55 |
コンピュータ理工学研究科 | 54(兼担54) | |||
(博士前期課程) | 2専攻 | 240 | 159 | |
(博士後期課程) | 2専攻 | 30 | 36 | |
文化研究センター | 8 | |||
語学研究センター | 10 | |||
総合数理科学センター | 9 | |||
先端技術研究センター | 10(兼担9) | |||
情報センター | 5(兼担2) | |||
産学連携センター | 36 | |||
企画運営室 | 5(兼担1) | |||
合計 | 1,230 | 1,241 | 91 |
※教養教育科目、外国語科目等を担当する独立の教育研究組織がある場合、適宜、記入してください。
2 取組について
(1)取組の内容について 1(概要)
本学はコンピュータ理工学教育・研究を目的として10年前に設立された若い単科大学である。コンピュータの教育は歴史が浅く、またコンピュータ分野は進歩が急速であるため、独自の工夫が必要であり、伝統的な理学部や工学部の既存の学科の再編ではなく、我が国初のコンピュータ理工学部としてまったく新たに構想された。
【1-1 先進的コンピュータ教育とカリキュラムの工夫】
本学は、「情報」という曖昧な用語ではなくコンピュータ理工学部という学部名に特化したことにより、コンピュータを学びたいという動機の明確な学生が全国から集まっており、そのような学生の学習意欲を伸ばすように、最先端の研究・技術動向に触れることに配慮した教育を行っている。これを「トップダウン教育」(最新の成果をまず先に見せて、それに到達するためにはどうしたらよいかを考えさせる)と称している。
その方針の具体化が課外プロジェクトと呼ばれる科目である。これは卒業に必須でない自由科目ではあるが、過半数の学生が1年生から大学院生まで参加しており、学生が卒論生や大学院生の研究に触れることで講義への高い動機づけにもなっている。課外プロジェクトのテーマがそのまま卒論のテーマに発展し、その経験が就職や起業に結びつく例も多い。さらに外国人教員のプロジェクトに参加している学生は、早期から英語による専門分野の学習ができるという利点もある。
このようなコンピュータ教育と合わせて、まったくキーボードに触ったことのない学生にも配慮した、コンピュータの基礎から始まる体系的なカリキュラムを用意している。専門科目では演習に十分に時間をかけ、演習時間には学部学生(Student Assistant, SA)、大学院生(Teaching Assistant, TA)を教員の補助として配置し、少人数教育を実現すると同時に、学生同士で学び合う雰囲気を作っている。
教員は常に新しい話題を学生に提供するように教材作成に努めており、独自のコースウェア、ハンドアウトを作成して学内ネット上でそれらを公開することにより、学生の主体的な学習を可能にしている。また、本学では、開学以来学生による授業評価方式を導入しており、たえず学生の声に耳を傾けながら授業内容の改善を図っている。
【1-2 英語教育】
コンピュータ理工学関連分野では、英語の能力は必須である。
本学の学生は二種類の英語教育を受ける。一つは、外国人による専門科目の講義、課外プロジェクトへの参加、卒論指導などによって、英語の専門的コミュニケーション能力が向上する。もう一つは、「語学研究センター」所属の教員によって行われる英語教育であり、聞く能力、文章作成能力と発表能力が向上する。
本学は多数の外国人教員を採用することにより、多くの専門科目の授業を英語で行っており、卒業論文は英語での執筆を義務づけている。
【1-3 コンピュータ利用環境】
施設・設備は開学当初から最新のものを用意し、WSによるUNIXベースでの教育を行っている。WSは「学生一人1台」を配置しており、コンピュータ演習室は24時間使用可能となっている。その運営・管理・セキュリティについては専任組織として「情報センター」を置いている。
(2)取組の内容について 2
【2-1 先進的コンピュータ教育とカリキュラムの工夫】
- 課外プロジェクト
- コンピュータの分野においては既存の知識はすぐに陳腐化し、教員が若い頃に学んだ知識を教えるだけでは役に立たない。そのため、常に学生自身が自ら主体的・積極的に新しい事柄に挑戦するよう指導している。すなわち、最新の成果にまず触れさせる、あるいは目標をまず提示し、そこに至る積み上げの過程を自覚させるという「トップダウン教育」を教育の標語としている。実際に何に役立つのか分からないままに基礎を学ぶほど味気ないことはないし、目標が明確であれば学習の動機も高まる。このような考えを基に先端的な研究内容の理解に動機づけられた教育を実践している。本学独自のこのプロジェクトは、学生の学ぶ意欲を促し、「トップダウン教育」の考え方を体現している。 課外プロジェクトは半期1単位の自由科目であり、半年で終わっても、4年間継続しても、また途中で変更してもよい。学生は1年生から、自分で選んだテーマを、自分のペースで研究の一端に参加できる。プロジェクトの内容の多くは、例えばコンテンツ作りといった授業では扱わないような内容を持ち、基礎的な分野よりも応用的な分野の内容が多く、大学の外へフィールドを求めて出かけていくプロジェクトも多い。現実社会の中でコンピュータがどのように活用されているかを実感でき、最先端の研究活動に間近に触れる、あるいは参加することができる。また、外国人教員と親しくなるチャンスでもある。
- 課外プロジェクトのテーマは卒論テーマ、大学院での研究テーマ、企業との共同研究開発へとつながる。学生の希望を優先し、人数の調整は原則として行わないことにしている。
- 現在のところ各プロジェクトの内容、運営は教員と学生の主体的活動に任せているが、今後さらに教育効果を高めるため、大学院生もこれまで以上に参加させ、プロジェクト相互の情報交換、有用な活動形態の相互利用などを検討していく予定である。
- カリキュラム・教育環境の工夫
- 本学では開学時には学科ごとの定員を設けて入試を行っていたが、平成11年度より一括して募集し、学生の希望を尊重して2年生の後半に学科配属することとしている。いずれも、学生の興味に応じた研究を尊重するためである。
- 本学は理工系の大学であり、微積分、線型代数、フーリエ解析、離散数学、力学、電磁気学を必修として課している。このため、高校で微分積分等を履修してこなかった推薦入学学生を対象に数学補講、さらには英語の基礎学力を補うための英語課題を入学前に実施している。また、キーボードにまったく触れたことのない新入生にも配慮した「コンピュータリテラシー」、「コンピュータシステム概論」から始まって「プログラミング入門」、「アルゴリズムとデータ構造」、「コンピュータアーキテクチャ」などの体系的な教育を必修科目として課している。
- ほとんどの専門科目の講義には二コマの演習(90分×2)を配置し、学生自身で実践してみることによって知識を獲得していくことを重視する。特にコンピュータの操作技術は、自らやってみて覚えるという比重が大きい。「習うより慣れろ」であり、学生は毎日熱心に演習室で自習している。演習室は24時間開放されており、常に演習室に来て作業ができる。
- 演習時間には優秀な学生を教員の補助として活用するTA、SAを配置して質問に応じている。演習は平均40人を単位として行われているが、それに3~4人のTA、SAを配置しており、少人数のきめ細かな教育が実施できている。教わる学生だけでなく、TA、SAにとっても教える経験は貴重である。
- また、毎学期ごとに学生による授業評価を行っている。各学期最後の授業の時に全学統一のアンケート用紙を配布し、その結果を教員にフィードバックしている。それによって、教員は常に学生の要求に耳を傾け、教育内容・教材を再点検することとしている。
- さらに、大学院には「創造工房セミナー」と称する夏季休業期間に実施される特論形式の授業が用意されている。これは外部から第一線の研究者、技術者を講師として招き一定期間内に何かしらの成果物(プログラム、設計作品)を創造しようという趣旨で作られたものであり、学生達が最先端の研究事例に触れる貴重な機会となっている。
【2-2 英語教育】
最先端のコンピュータの知識はアメリカを中心として発展しており、英語での情報入手が重要であるだけでなく、情報を発信していくためにも英語を自在に使用できることが重要である。語学研究センターの教員による英語教育は、コンピュータサイエンスを学ぶ学生のニーズに応えることを意図し、英文学ではなく実用的な英語を教育目的とするESP(English for Specific Purposes:特定目的のための英語)プログラムの考えで実施されており、授業で使用される教材は主としてコンピュータサイエンスの現場やテキストから選び出されている。
英語教育の成果は、英文の卒業論文となって結実する。発表及び質疑・応答も英語で行われる場合もある。また、修士論文、博士論文では当然英語による作成、発表が義務づけられる。
【2-3 コンピュータ利用環境】
高度情報化社会に必要な科学者・技術者の養成を使命とする本学は、コンピュータの仕組みを理解し、ソフト・ハードの開発、管理ができるような、これからのコンピュータ社会に不可欠ないわば高級な広義のソフトウェアの人材育成を目指している。このため、ネットワークに接続されたWSを使い、UNIX環境で基礎から応用まで教育している。コンピュータを操作することにとどまらず、企業等でビジネスに結びつくコンピュータ環境を開発・保守できるプロの人材の育成という本学の教育方針は、企業からの数多い求人件数など社会的にも高く評価されていると言える。
コンピュータ関連の機器の進歩は開学時の平成5年からしても予測できなかったほど急速であり、時間が経過するたびに高性能の機器が低価格で提供されている。その状況を見越して授業で使用する標準的な機器は買い取りでなく3年ごとのリースとし、常に最新の教育環境が確保できるようにしてある。さらには専任のネットワーク管理・監視・メンテナンスを担当する情報センターを設置し日常業務に当たっているため、学生・教員のコンピュータ利用環境はセキュリティ、使い勝手の面からも優れたものとなっている。
(3)組織的対応について
本学のカリキュラムの骨格は、急速に進歩するコンピュータ科学・技術に対応するため、大学設立準備委員会によってまったくゼロから構想された。その後、学内の委員会である教務委員会やカリキュラム委員会によって若干の手直しがなされてきたが、現在、学長主導によりカリキュラムの見直しを進めているところである。しかし、前項に述べた課外プロジェクトを始めとする先進的コンピュータ教育、英語教育、コンピュータ利用環境などの本学の基本理念は今後も変わることはない。
【3-1 コンピュータ教育の実施システム】
- カリキュラム
- 基礎的共通的教育については、特定の学科・講座が担当するのではなく、ソフトウェア学科、ハードウェア学科、情報センターの協議の下に、教務委員会が調整して教員を決定する。コンピュータ言語はC、JAVAやUMLに見られるように日進月歩であり、科目の教員たちは会合を重ねて毎年教材(コースウェア、ハンドアウト)を作成する。それらの教材のほとんどは学内のインターネット上に公開されており、学生はいつでも予習、復習ができる。
- 課外プロジェクト
- 学内の教務委員会が毎年春に課外プロジェクトの応募を受け付ける。例年教員からの提案が40~50件あり、学生の応募は約500人である。
- 開学時には課外プロジェクト事業に必要な予算措置を行い、これによって、各プロジェクトでは学生用のPC、カメラなどの機器や参考書を自由に購入することができた。また、謝金、旅費を用意し、学外からの講師を招聘することができるようにしている。外部講師による話題提供は、学生の意欲を高め社会性を涵養することに資している。
- 毎年の各プロジェクトへの予算配分は、教務委員会が参加人数と機器の必要性等に応じて行っている。
なお、これまで実施されている課外プロジェクトの例を以下に示す。
- 酒の瓶詰め工程における画像処理の応用(平成5年度~7年度)
(会津の地場産業である日本酒の瓶のキズの自動検査システムの開発)
毎年約10人参加 - 冷却CCDカメラによる天体撮影とそのコンピュータ処理(平成6年度~13年度)
毎年約20人参加 - 音楽記述言語に基づいた作曲支援システムの開発(平成7年度~11年度)
毎年約20人参加 - 3D Measurement(平成7年度~11年度)
(会津大学のキャンパスを3Dグラフィックスで表現するプロジェクト)
毎年約10人参加 - F-Communication System(平成12年度~15年度)
(老人と障害者のための新しいメールシステムの開発)
毎年約10人参加 - Tale-Robot(平成13年~14年度)
(遠隔操作によるロボット制御の研究) 毎年約20人参加 - Simulation and Visualization of Japanese Urushi and Color Appearance
(会津の伝統産業である漆の器をCGで表す)(平成14年度)
7人参加
- 卒業論文配属
- 3年生の冬に卒業論文配属が行われる。配属に当たっては、各教員がテーマ(複数)を提示して説明会を行い、学生はそのテーマに応募する。少人数教育を実現するために、卒論配属の際には定員を設ける。説明会の後の個別の面談、定員オーバーの場合の二次募集等々の手続きを経て、十分な時間をかけて卒論の配属を決定している。この場合、テーマによっては他学科の教員の指導を受けることも可能となっている。
- 卒論生は大学院生に用意されている各講座の研究室、実験室に同居し、卒論用の消耗品費は予算措置されている。また、自由に使用できる演習室のWSの他に、PCを貸与されている。
【3-2 英語教育】
本学の英語教育は、「語学研究センター」が責任を持って行っている。同センターの教員は10人中6人が博士号取得者であり、8人がネイティブスピーカーである。本学では第2外国語を設けておらず、英語教育に専念している。そのため、英語科目としては選択科目を含めて16科目が開講されており、11科目/15単位以上の取得が義務づけられている。これらの科目は、最初の2年間のみならず卒業論文作成までの4年間にわたり配置されている。
平成15年度現在で4割以上を占める外国人教員の国籍は、アメリカだけでなくロシアや中国など10カ国に及んでいるが、本学では外国人に日本語の使用を要請していない。学内の共通語は日本語または英語であり、外国人教員の授業は英語で行われることが多い。3年生と4年生の専門授業科目で見ると、60%が外国人教員の英語による授業である。また、卒業論文は、日本人教員が指導する場合も英語で作成することが義務づけられており、語学研究センターの教員によって英語の論文執筆指導が行われる。これは、Thesis Writingという1単位の必修科目であり、きめ細かな添削指導がなされている。
【3-3 コンピュータ利用環境】
学生用としてWSが配置されている演習室は14室あり、WSの一人1台の利用環境が整備されている。なお、教員と大学院生には個別にWSが提供されている。 この他に、3Dシアター、運動解析システム、無響室、サウンドクリエーションシステムなどがあり、学生が自由に研究に役立てることができる。 これらの機器の管理運営は、学内の独立した組織である「情報センター」が一元的に行っている。センターには専任の教員3人、技術職員4人が所属しているほか、24時間体制で維持管理が行われている。WSの維持管理に必要な経費は年間約11億円である。
(4)取組実績について
本学の卒業生は開学以来ほぼ100%の就職率を維持しており、企業からも高い評価を得ている。すなわち、UNIXの基本的コマンドを駆使できること、有用なプログラミング言語をマスターしていること、ホームページの作成・保守ができること、そして英語を駆使できることなどが評価の主な理由である。
昨年度、会津大学卒業生が就職している主な企業414社にアンケートを行ったところ、回答があった企業163社のうち80%が会津大学卒業生のコンピュータ専門知識に満足しているとの結果を得た。
また、隔年で「学生の生活と意識調査」を行っているが、会津大学が第一志望であり、大学のコンピュータ教育に満足していると回答する学生は常時80%となっている。 これらにより、本学への入学志願者は全国の都道府県からあり、一般選抜試験の志願倍率は平成15年度入試で5.2倍であった。
課外プロジェクトは、自由選択科目でありながら、毎年500人以上、全学の過半数の学生が受講している。特に新入生の約80%が受講しており、これは入学当初からコンピュータの本格的研究をしたいという学生の意欲の表れであり、課外プロジェクトはその学生の意欲に応えるものとなっている。もちろん、1年生から本格的研究を開始するためには基礎知識が不足しているが、このプロジェクトには1年生から大学院生までが同居しており、友人や先輩から教え合いつつ進めていくという要素が強い。講義型の授業からは得られない教育効果が期待できる。また、外国人教員の主催するプロジェクトへの参加者の取組意欲が高く、1年生から外国人教員と接しているため卒論指導段階での英語のコミュニケーションも円滑に行うことができるという効果も生み出している。
課外プロジェクトでの研究テーマが、そのまま卒論のテーマや大学院でのテーマに繋がる例も多い。プロジェクトで単位取得した者のうち約3割が卒論で同じ研究室に入っている。また、さらに研究テーマを追求して大学院への進学を目指す学生も多い。課外プロジェクトの経験がそのまま就職、起業に結びついている例も多い。
本学の卒業論文はすべて英語で作成し提出することが義務づけられている。論文が完成した後は、公開の場での発表が義務づけられている。一人15分間の発表時間があり、指導教員を含む2人の教員の評価によって卒論の合否が決定される仕組みになっているため、学生は真剣に準備に時間をかける。テーマの選定から発表までの期間の学生の成長には目を見張るものがある。大学院でも論文、発表ともに英語によることが義務づけられている。
学部卒業後、米国の大学院へ留学を希望する学生が毎年おり、過去7年間で24人が進学、すでに12人が修士の学位を取得し、帰国後活躍している。
以上、述べてきたように国際的に通用するコンピュータ科学・技術者養成を目標として先進的コンピュータ教育を具体化した課外プロジェクト、コンピュータ分野を対象とした英語教育、それらを支えるコンピュータ利用環境、組織、これらが相まって、優秀な学生を送り出すことに成功している。今後、さらにこれらを発展させていくべく大学改革の一環として取り組んでいく。