本学は2023年度に会津大学30周年を迎えます。これを機に、建学の理念である "to Advanced Knowledge for Humanity" の今日的意義を、教職員・学生・卒業生みんなで考えてみようと会津大学University Identity構築プロジェクトを始めました。

今回その一環で、外部有識者10名の方々に「会津大学とは何か?」を大きなテーマにしたインタビューを行いました。客観的な視点からのお言葉を元に、会津大学の存在意義や求められているものに迫っていきます。

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第3回:株式会社ナディスホールディングス 宮澤 洋一 代表取締役

「大学の一番の目的は、将来につながる基礎研究をすること。より豊かで幸せな社会に役立つ技術開発ができる人間を輩出しよう。

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Q.宮澤様と会津大学の繋がりについて教えてください。

会津大学の経営審議委員を長くやっています。会社を立ち上げたのが会津大学から遅れて2年後くらいでした。当時学長の國井先生の印象は強烈なものでした。スタンフォード大学を意識していて、今の校舎も、スタンフォード大学をモデルに設計されたんです。お互いがすぐ会ってディスカッションできるようにと、学内を移動する際には一度建物の外に出てから入る仕組みになっていますが、冬は本当に寒いですよね。そもそも、会津と南カリフォルニアの気候はぜんぜん違いますから(笑)。それでも「絶対にこうしたい」という國井先生の強い意志のもと出来上がった建物です。

大学のコンセプトも、「東大・早稲田を超えるんだ」というベンチャー精神が前面に出た、勢いのある先生でした。あのエネルギーは、時を経ても脈々とつながっている感じがします。

当時自分がベンチャーで新しいことをいろいろやろうとしたときに、國井先生のような方に直にお会いできたことは非常に良かったです。貫くということの大切さを学んだ気がします。

Q. 世界・地域・社会にとって、会津大学の存在意義はどのようなものだと思われますか

やはり「学び」が一番大事だと思います。基本は10年、20年、30年先までつながるようなベーシックな研究をやっていくのが大学の一番の役割。その先生の教育・研究が20年後に花開くというのが、本来の学問の在り方だと思っています。儲けとは別なところに存在意義があるということです。

よく「ベンチャー企業が何社出た」という話が出ます。それが悪いとは思いませんが、「そういうものを支える20年、30年先を見据えた研究をやっている先生・学生・院生たちがこれだけいる」というのがバックグラウンドにあっての結果だと思っていますし、それは大学でしかできないことです。

大学としては、各分野で尖ったプロフェッショナルな教育を施し、高度な人材を育てることが大事だと思います。高度な人材というのは、単に頭が良いということではなくて、その分野で世界に対抗できるような人材ということです。その意味では会津大学は、開学当初に比べ、最近は実際に世界に通用するような研究・教育に寄ってきたと感じます。それは文科省のSGU(スーパーグローバル大学)事業に採択されたことも大きな要因のひとつだと思いますそういうこともあって、尖った人材を出すという意味で、間違いなく社会の役に立っていると思います。

Q.会津大学は30周年を迎えますが、さらに30年後、地域・社会はどのような姿になっていると思われますか?そこでの会津大学の役割はどのようなものになるでしょうか

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ICT中心に考えてみると、30年後、AIやロボットはいろんなところで人と共存しているはずですが行き着いた先に「これはやりすぎだよね」というのが出てきて、人間がやるべきこととロボット・AIに任せるべきことが、実用的に棲み分けされていくと考えています。

今はどちらかというと、何でもやってみる感じですよね。将来は、今より血の通った技術が出てくる時代になるのではないでしょうか。その頃には会津大学ももっと進化して、より学問としてのコンピュータやAI、ロボットなどが確立されているのではないかと思います。もしかすると、会津大学にも人間学部みたいなものができているかもしれませんね。人間的な技術のための研究に力をいれるべきときが必ず来るはずです。

だからこそひとつのことをずっと、いろいろな方面から研究する基礎レベルの研究が絶対に必要で、これは30年後に役立つと思いますそのためには、今の延長線上にいてはダメ。30年後にも「会津大学発のベンチャー起業が50社になった」というようなことだけを言っているようではいけませんね。

Q.これからの会津大学に期待することはどのようなことでしょうか?

やはり人の輩出ですまさに国づくりは人づくり社会に役立つ人間をどれだけ出せるか、そこに尽きるのではないでしょうか。単なる技術屋ではなく、人間の意識を変えてしまうような技術が生まれていけば良いですね。技術がどんなに進歩しても、結局人が幸せにならなければ仕方ありません。国をまたいだ技術開発、ビジネス競争の荒波を乗り越えていける精神力と国際感覚を持ち、一方では身の回りの人、お父さんやお母さんや地元の人を大事にできるような、バランスが取れた人間が会津で育ってくれればいいなと思います



宮澤様、ありがとうございました!

次回は同じく大学における基礎研究の重要性を語ってくださった三菱商事株式会社 平竹 雅人デジタルイノベーションセンター長のインタビュー報告です。

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