会津大生学部2年の杉井雄汰さんが、特定非営利活動法人(NPO法人)「Safecast(セーフキャスト)」の活動に参加し、その内容について学内で報告しました。

 特定非営利活動法人(NPO法人)「Safecast(セーフキャスト)」は、放射線レベルを地図化し、センサーネットワークを作り、集積したデータを人々に提供しています。Safecastの活動は国際的にも注目されるようになり、2015年2月25日(日)には、NHK WORLDでおよそ30分にわたり紹介されました。杉井さんのSafecastでの活動内容は以下のとおりです。

神戸ITフェスティバル2014における活動
2014年11月28日・29日(金・土)
 杉井さんは神戸ITフェスティバルで開催されたワークショップ「Safecastチームと一緒に放射線線量計を作ろう」に参加し、ガイガーカウンター「bガイギー・ナノ」を作成しました。さらに、このガイガーカウンターを用いて、神戸市内の放射線量測定を行いました。このイベントは、関西地方では初となる放射線関連のワークショップとして、高い関心と評価を集めました。
 当日の様子はこちらもご覧ください。
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作成したガイガーカウンター(左)、神戸市役所前の放射線量測定の様子(右)

南相馬市にて放射線量を計測
2014年12月29日(月)
 杉井さんらSafecastのメンバーたちは、神戸ITフェスティバルのワークショップで作成したガイガーカウンターを用いて、福島県南相馬市小高区にある小高駅周辺で放射線量の計測を行いました。小高区は現在避難指示解除準備区域に指定されており、立ち入りは可能ですが、宿泊は禁止されています。計測チームは、2014年9月に開通した国道6号線を経由し現地入りしました。計測データのアップロードは、小高ワーカーズベースの和田智行氏の協力を得て行いました。
 小高ワーカーズスペースによるレポートはこちらをご覧ください。

ローズハルマン工科大学にてワークショップ開催
2015年3月18日-3月20日(水-金、現地日付)
 杉井さんは、留学先のローズハルマン工科大学に神戸ITフェスティバルのワークショップで作成したガイガーカウンターを持参し、ワークショップを開催しました。ワークショップには同大学の学生も参加しました。
 また、ガイガーカウンターを用いて、ローズハルマン工科大学近辺やダウンタウンの放射線量を計測しました。さらに、2011年の東日本大震災以降も、会津大学からの留学生を受け入れている同大学に感謝を示し、計測に用いたガイガーカウンターを寄贈しました。受け取ったリチャード・スタンパー博士は「会津大学とローズハルマン工科大学、ならびに日本とアメリカとの今後も続いてゆく友好の象徴として、大切に使わせていただきます」とコメントしました。
 杉井さんによるこの活動レポートは、こちらこちらもご覧ください。
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ワークショップの様子(左)、ガイガーカウンターを寄贈する杉井さん(右)

Safecast Coference 2015
2015年3月25日(木)
 福島県郡山市にて、Safecastとして初のカンファレンスであり、かつ設立4周年を記念した「Safecast Coference 2015」が開催されました。この時ローズハルマン工科大学留学中であった杉井さんは、アメリカからの中継で同大学での活動内容に関するプレゼンテーションを行い、会津大学の学生が率先してオープンデータを活用した取組に参加している様子を伝えました。このカンファレンスには内閣官房健康・医療戦略室健康・医療戦略参与の黒川清氏、品川萬里郡山市長をはじめ、多数の方々が参加していました。また、このイベントと同時に、会津大発ベンチャーのEyes, JAPANが参加した「Safecastハッカソン」が開催されました。このイベントでは、会津大学生がガイガーカウンターを作成するワークショップと、APIを使用したハッカソンが行われました。
 杉井さんによるこの活動レポートは、こちらもご覧ください。
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会場の様子(左)、アメリカからの中継でプレゼンテーションを行う杉井さん(右)

杉井さんのコメント:Safecastの活動は、ボランティア団体として世界で最も大きなオープンデータを生み出し、今後もさらなるデータ量の拡大が見込まれています。そうした取組に、微力ながら尽力できたことをとても嬉しく思います。これまでこのような活動ができたのは、マネックス証券CTOのピーターフランケン氏、Eyes, JAPANの山寺純氏等、様々な方々が協力してくださったおかげです。
 自分でガイガーカウンターを作り、それを用いて身の回りを計測するようになるとは、会津大学に来るまで想像もしていませんでした。計測した経験から、放射線量に対して「よくある値だ」、「ここは少し危険」等、自分の中での判断基準ができ、放射線に対して冷静な判断できるようになりました。
 今では、地元神戸の両親や友人にも、データを用いた客観的な意見を言えるようになりました。こうした取組は、コンピュータを学ぶ学生にとって、知識や技術のスキルアップとなるのみならず、ボランティアや環境への意識を高揚につながる重要な取組だと思います。今後もSafecastの活動をはじめ、世界をより良い方向に変えていけるような取組に参加していきます。

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