平成25年度会津産IT技術認定、会津大生 讃岐さんに奨励賞
1月15日、UBIC「産学連携フォーラム2014」において会津若松市が主催する平成25年度会津産IT技術認定証授与式が行われました。これは会津若松市域において、ITを活用して起業を志す学生・個人・グループ、新商品を開発した企業、新技術を創出する研究者、学生などを対象に、優秀な成果品に対しては会津産IT技術として認定するものです。
今年で10回目となる今回は7件の応募があり、そのうち1点が大賞、3点が奨励賞に選ばれました。このうち奨励賞の1点は、会津大4年生の讃岐 航さんの立体音響を用いたスマートフォン用道案内アプリ「Machi-Beacon(町ビーコン)」でした。レベルの高い応募作が揃う中、厳しい審査を勝ち抜いての受賞となりました。今回は大賞に株式会社会津ラボ、奨励賞受賞者2者に株式会社Eyes, JAPAN、株式会社デザイニウムと「会津大学発ベンチャー」が受賞しました。受賞式に列席した室井照平会津若松市長は「会津にIT技術ありを改めて感じた」と感想を述べました。会津大学の岩瀬次郎理事は、応募作のレベルが高かったこと、全国的な高い評価を受けていることなど講評しました。
受賞式のあとは受賞者による認証技術のプレゼンテーションが行われました。讃岐さんは「Machi-Beacon(町ビーコン)」では現在社会問題となっている「歩きスマホ」の解消にも役立てることができるとアピールしました。またこの技術を応用することで、観光ナビや視覚障がい者用としての利用も期待でき、さらに災害時の避難場所への誘導、待ち合わせ相手や広い駐車場で自車の位置へと案内するといった用途も可能であると述べ、審査で高評価を受けた多様な応用性を印象付けました。
モデレータとして日本ユニシス株式会社CTO 保科 剛氏を加えたパネルディスカッションや質疑応答でも活発な議論が行われました。また会津大発ベンチャーとして第一線で活躍する各受賞者からは、先輩として後進の活躍に期待する激励の言葉や提案もあり、有意義な意見交流ができました。
表彰状を受け取る讃岐さん(左)、受賞者、室井市長、岩瀬理事による記念撮影
讃岐 航さんのコメント(写真左):
「アプリの開発ですが、やはり周りの人たちに相談してフィードバックをもらえたことが良かったと思います。特にCohen先生、Villegas先生には週2、3回時間をとっていただいて開発中のアプリを見ていただけました。
今回のアプリは研究していたシーズから出来たもので、はじめから現在の形になっているわけではありませんでした。試作として作ったアプリは立体音響を用いた 脱出ゲームという全くジャンルの違うものでした。そこから、最近のニュースや周りの人達からのアドバイスを貰った結果、「Machi-Beacon」が出来ました。
これからの展望についてですが、技術や企画立案など、まだまだ未熟ですので、日々研鑽を積んでいきたいと思います。そのための足掛かりとして、まずは会津大学の教授や友人から素晴らしい技術を学び、それを就職先の東京で存分に活かしてきたいと思います。」
讃岐さんを指導したMichael Cohen教授(写真右、右)とJulián Villegas准教授の共同コメント(写真右、左):
「讃岐さんの「Machi-Beacon」は、GPS(全地球測位網)やGIS(地図情報システム)といった現在と次世代アプリケーションにおける新たなトレンドを活用しています。このアプリでは、検索機能を含めた立体音響と、位置情報ベースのサービスを一般化しています。
彼のプロジェクトは、2年前に私たちがスーパーバイザーとして参加した「Gabriel」と関連があります。このプロジェクトは福島県ハイテクプラザがスポンサーとなり、Eyes, Japanと会津バスが共同制作したものです。このプロジェクトは、乗客にワイヤレスヘッドホン、運転手に骨伝導ヘッドフォンを用いて「nearphones」という状態を作り、位置認識、指示、アナウンスを行うものでした。音のストリーム配信以外に、立体音響を合成する位置情報を基にした仮想音源を使用していました。このプロジェクトでも、視認によって情報を確認するウェアラブルコンピュータユーザーの安全性について考慮しました。聴覚を使用するメリットとして、予期しない変化に対するユーザの反応能力を強める、視覚だけに頼らないアプローチができることがあげられます。
讃岐さんの研究における重要なポイントは、彼が以前のアイデアを再構築し、スマートフォンという単一のプラットフォームで応用したことです。より素早く、ユーザーエクスペリエンスに一貫性を持たせ、潜在的なユビキタスシステムを作りました。しかも「Machi-Beacon」はナビゲーションアプリケーションとしての利用にとどまらず、自車駐車場所の探索、緊急避難場所への誘導など、様々な応用性を備えています。」
平成25年度会津産IT技術認定 一覧
大賞
- 株式会社会津ラボ ~スマートフォン向け女子会調整アプリ「Apoli」~
今はやりの女子会をターゲットにしたスマートフォン用アプリケーションです。わかりやすいインターフェース、さまざまな機能を備え女子会以外にも応用が期待できます。アプリケーションの完成度の高さ、メディア展開の利用促進が期待できる点が、高い評価を受けました。「Apoli」はAndroid、 iOS版が配布中です。
奨励賞
- 株式会社Eyes, JAPAN ~オープンデータを可視化し比較するプラットフォーム技術~
Web上における地点情報にCSVなどのオープンデータを結びつけ、地図上にわかりやすく可視化する技術です。グラフやアイコンによって、わかりやすいユーザーインターフェースを実現します。この技術を用いた「Feel No Pain」は 医療分野でのIT技術を競うHealth 2.0主催の"2013 Developers World Cup Finals"で優勝しました。今後のニーズの高まり、現状のオープンデータ推進ともマッチしているなど、開発の視点が評価されました。
- 株式会社デザイニウム ~オープンデータを用いた観光文化資源マッピングアプリケーション~
現代地図と歴史上の地図を重ね合せ、地域の観光や文化関連スポットのオープンデータをマッピングした、スマートフォン向けアプリケーションです。地域性を高め、特化することにより新しい価値創造ができること、時間情報、ARなどの情報量の充実によって更なる発展が期待できる点などが評価されました。この技術により作成されたアプリ「会津古今旅帳」は、Android、 iOS版が配布中です。 - 会津大学 4年 讃岐 航 ~Machi-Beacon(町ビーコン)~
三次元的な音の方向や距離、拡がりを再現できる立体音響を用いた、スマートフォン用道案内アプリケーションです。音によって道案内するため、スマートフォンの画面を見なくても目的地にたどりつくことができます。今後、様々なナビゲーションとして応用できる可能性が評価されました。
Machi-Beacon(町ビーコン)のスクリーンショット