自信を持って未来へ!276名に学位記授与

h23graduation-2平成23年度学位記授与式が3月23日(金)に行われました。今年度、コンピュータ理工学部から221名が卒業し、大学院コンピュータ理工学研究科においては博士前期課程51名、同後期課程4名が修了しました。
角山茂章学長は卒業生総代の髙宮裕輝さん、修了生総代の対馬孝弘さんに学位記を授与(写真)。式辞で「会津大学という恵まれた国際的環境で情報技術のみならず、国際的な文化を学んだ皆さんは、常に変化し続ける社会に対応できる知識と力が身に付いている。自分の未来に自信を持って頑張ってほしい」と激励の言葉を贈り、続いて、佐藤雄平福島県知事をはじめとする来賓の祝辞、在学中に優れた成績や研究成果を残した学生の表彰が行われました。
答辞は卒業生代表の佐藤洋平さんが「夢を実現させるための努力を積み重ねた在学中の経験が、今後の人生の大きな財産となると確信している。私たちに与えられた福島県や日本の復興という課題にも、会津大学で培った技術を活かすことができる局面で役割を担っていきたい」と活躍を誓いました。
卒業生は学位記授与式の後、記念撮影に臨み、後援会主催の卒業パーティでは教員や友人と思い出を語り合いながら会食を楽しんでいました。福島県内の企業に就職する角田健人さんは「友達との別れはつらいが、同期生に負けない気持ちで頑張っていく」と話しました。

  • 角山学長の式辞はこちらをご覧ください。

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会場前にて写真撮影(左)、答辞を述べる佐藤さん(右)

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卒業生全員で記念撮影(左)、後輩からの花束に笑顔(右)

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卒業パーティの様子

平成23年度学位記授与式 式辞

h23graduation-9会津大学学部生221名、博士前期課程51名、博士後期課程4名、合計276名の皆さん、卒業おめでとうございます。大学を代表して心からお祝い申し上げます。

昨年の今頃は、東日本大震災を受け、会津大学では皆さんを含めた在校生全員の安否確認を終え、緊張の中にも少しの安堵感が出てきた頃だったと思います。4月は授業が出来ませんでしたが、その間、皆さんは自主的にボランティア活動に参加するなど、社会活動を行ったことは貴重な体験であったと思います。

昨年は予定していた公式の学位記授与式が残念ながら中止となりましたが、学生の中から「卒業式をしたい」と言う声が強く上がり、3月22日に学生主催の自主卒業式が開かれました。 前日の話では会津に残っている20~30名程度の学生による卒業式になると聞いていましたが、当日になってみると83名の学生が参加する立派な式になりました。本日のように、来賓やご家族をお迎えしての式ではありませんでしたが、学生が決めた段取りに従い、学部生は岡学部長から、大学院生はセドゥーキン副学長から一人ひとりに学位記が手渡され、感慨深い卒業式でした。今年は、このように知事を始めとしたご来賓の方をお迎えでき、また多数のご家族の方のご出席も頂き、本学の教員にとって感無量の思いがあります。大学を代表して心より感謝を申し上げます。

ところで、「高等教育の将来像」が以前中央教育審議会で議論されました。そこでは、21世紀を「知識基盤社会」と位置づけ、個人の人格形成の上でも、社会を発展させる国際競争力を高める上でも、高等教育が重要な役割を担うと指摘しています。ところが、その社会を発展させる原動力となるべき国際競争力の向上については、日本社会は反対の方向に向かっているのではないかと思われます。海外の識者からは「日本は高度成長から低成長の社会構造に移り変わる中で、海外について勉強しなくなった」と指摘されています。一方、本学はキャンパス自体が国際的環境にあり、「会津から世界へ」と海外で活動できる人材の育成を本格的に行っている日本では数少ない工学系の大学です。このキャンパスで情報技術のみではなく、国際的な文化を学んだ諸君こそ、21世紀の「知識基盤社会」で活躍する人材なのです。明日から始まる新たな活動の中で、皆さんは大きく社会に貢献できる、即ち本学のモットーである「to Advance Knowledge for Humanity」を実践できる人材です。

会津大学には「参与会」と言う、高い見識をお持ちの先生方から本学の教育・研究の方向性をご指導いただく会があります。2月の参与会で、長年日本のIT分野の指導者であられ、参与会の議長でもあられせられる相磯先生から次のようなメッセージをいただきました。「これからはエリート教育を是非やってほしい。エリートというと権力とか権限とか、昔の、特にヨーロッパ系の国では貴族のような感じがしますが、私の言うエリートはそういう意味ではなく、技術力をきちっと持って、世のため、人のために尽くすという、そういう人です。そう言った人の集団を作っておくということが社会的に大変意味のあることではないかと思います。是非、エリート教育というものを考えていただきたい。」というご意見です。

私は、このご意見を聞き、直ぐに会津藩士の出身で、物理を学び東大総長になられた山川健次郎先生の教育理念を思い出しました。山川健次郎先生は、「技術に堪能なる士、君子たれ」という言葉を残しました。エンジニアは、専門以外に社会への深い知識と教養を持っていなければいけない。即ち真の意味のエリートであるべしという言葉だと思います。

会津大学は地方の小規模の大学です。しかし、私は地方の落ち着いた環境で、学生が世界トップレベルの教授陣から一対一で指導を日々受ける、それがエリート教育ではないかと思います。地方大学だからこそ、夕食を終わって、世界のトップレベルの先生方がまた大学に戻って来られて、学生とじっくり議論が出来るのです。そういった恵まれた環境で皆さんは十分学びました。是非、自分の未来に自信を持って、明日からまい進していただきたい。

最後に、マキャベリの言葉を紹介したい。「変化なしの自然はありえないと同様、民族の運命にも静止と言うことはありえない。」

常に世界は変化し続けています。諸君はそれに対応できる知識と力を習得しました。未来に向け頑張ってください。

平成24年3月23日

会津大学 学長 角山茂章

[最終更新日]2012-03-26