キャンパスベンチャーグランプリ東北最優秀賞 会津大生 尾上さん

 日刊工業新聞が新事業の提案を通じて、若者の人材育成と新産業の創造を目的として開催している「第9回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)」東北地区大会にて、会津大2年生の尾上友一郎さんが24件の応募の中から最優秀賞を受賞しました。

 尾上さんの提案は「会津の四季を詰め込んだ会津名物『さくらあげ』」です。地域の活性化をめざす意気込みが高評価を受けました。たこ焼きのたこのかわりに会津の名物である馬肉を使用した、健康的なファストフードです。尾上さんは引き続き、3月に東京で開催される「CVG」全国大会に東北代表として出場する予定です。

 また、特別賞にあたる日刊工業新聞社賞には短期大学部産業情報学科2年の西間木梅香さん、三瓶沙織さんの提案「健康外食生活いつはじめるの?今でしょ!」が選ばれました。

 尾上さんのアイディアは「第4回あいづ農商工観学フェア」において、最優秀賞を受賞したものです。会津大学のベンチャー体験工房「会津IT日新館」※1)の一環で開講している「ベンチャー基本コース各論Ⅰ」(担当教員:程子学教授石橋史朗教授王軍波准教授)において、ITの応用や会津の歴史や文化を活用したビジネスプランの企画として作成したものが元となっています。

※1
会津IT日新館:IT 教育を特徴とする会津大学が地域のベンチャー企業や自治体と連携し、それらのニーズに対応したテーマで「ベンチャー体験工房」群を構成。それぞれの工房では、地域企業の経営者や技術者から指導を受けながら、ニーズを満たすソフトウェア開発など製品化にかかるプロセスを体験し、確かな技術と起業家精神を 養うことを目的とする。


左写真提供:日刊工業新聞

尾上さんのコメント
「自身が大阪出身ということと、大阪名物のたこ焼きを発案した方が会津出身というところに目をつけ、たこ焼きのタコの代わりに地元会津の名産の馬刺しを使用したものです。ソースにも馬刺し用の辛味噌を使用するなど、たこ焼きとは一線を画したオリジナルなものになっています。会津の名産品の馬刺しを手軽に楽しめること、友人の意見を聞きながら試作を繰り返したことがポイントとなりました。

 会津の特産品である馬肉は低カロリー、高タンパクという優れた食材ですが、一般的な知名度はあまり高くありません。そこでこの馬肉を使った新たなファストフードとして「さくらあげ」を開発しました。
 この料理は一品で会津の四季をイメージできます。一般的なファストフードは健康に良いイメージはありませんが、この料理は油を使用していないため、老若男女を問わず幅広く安心して食べることができます。「さくらあげ」は従来のファストフードから差別化を図り、会津の良さを引き出しています。

 この料理を全国的に広めることで会津の活性化を促し、さらに東日本大震災・原発事故からの復興と再生をめざす福島県の一助になればと思い、本事業を提案しました。」

「IT日新館」にて尾上さんを指導した石橋先生(右)と王先生(左)のコメント

  • 「さくらあげ」のアイディア
     尾上さんは勤勉かつ優秀で、豊富なアイディアの持ち主です。今回も元のアイディアは尾上さん自身から出ました。大阪の味である「たこ焼き」のルーツは、会津出身の方が作ったものだと言われています。尾上さんはこのたこ焼きのルーツにヒントを得て、大阪と会津の新しい形での融合をめざしました。たこ焼きのたこの代わりに会津名物である馬肉を使うことを思いついたのです。
  • 会津のイメージを表現した「さくらあげ」の色彩
     「さくらあげ」はアイディアとして秀逸なだけではなく、会津の地域色が濃く出ています。さらに「さくらあげ」は会津の四季を色でイメージしています。春は桜色の馬肉、夏は緑色のキャベツ、秋の紅葉は赤いタレ、冬は雪にみたてた白い生地で表現しました。
  • 今後の展望
     全国大会で優秀な成績をあげることを期待しています。会津の特産品を活かした斬新なアイディアですので、地元企業と協力した商品化をめざしたいです。過去にも会津大学は「ベジメルバーガー」等の食品を生み出してきました。今回の「さくらあげ」も地域に貢献できる新たな名物とできればと思います。