コンピュータ通信研究室(CCL)[1] の研究チームが、ベトナム・ハノイで開催された「2025年国際先端通信技術会議(ATC'2025)」において、Best Paper Award(最優秀論文賞)を受賞しました。

 国際先端通信技術会議(ATC)は、ベトナム無線電子協会(REV)とIEEE通信ソサイエティ(IEEE ComSoc)[2] が共催する年次国際会議です。2008年の創設以来、ATCは電子工学、通信、関連分野における科学者や技術者がアイデアを交換し、研究成果を共有するための主要な国際フォーラムとして機能しています。
 本年の会議は2025年10月16日から18日までハノイ工業大学にて開催され、世界各国のトップ研究者による発表や著名な専門家による基調講演が行われました。

 受賞論文「Qiskit-Enabled Simulation of Quantum Key Distribution over Starlink Satellite Networks(スターリンク衛星ネットワーク上の量子鍵配送のQiskit-Enabledシミュレーション)」は、滝原雄大さん、レ D.ホアン准教授、グエン T.クオンさん(CCL博士課程学生)、およびファン T.アン教授によって執筆されました。
 滝原さんは会議に参加し、研究チームを代表して賞を受け取りました。

 本論文では、IBM Quantum Experience(IQX)プラットフォームを用いた新しいシミュレーションフレームワークを提案しています。この手法により、宇宙インターネットという新たな文脈における量子鍵配送(QKD)プロトコルの実環境を模擬することが可能になります。秘密鍵生成率や量子ビット誤り率といった主要性能指標をシミュレーション・評価することで、自由空間光衛星リンク上でのQKDシステム実装の実現可能性と課題について貴重な知見を提供しています。

 この研究は科研費プロジェクト #21K11870 [3] および #24K14918 [4] の支援を受けています。
 滝原さんは現在、ファン T.アン教授およびレ D.ホアン准教授の指導のもと、CCLの5年一貫制(4+1)学士・修士プログラムにて修士課程に在籍しています。彼の研究は、自由空間光衛星ネットワーク上での量子鍵配送システムの設計と性能評価に焦点を当てています。

s-Yudai photo.jpg
滝原雄大さんが最優秀論文賞を受賞

s-2025.10.22.Yudai-Best Paper Award.jpg
2025年ATC最優秀論文賞

[1] コンピュータ通信研究室(CCL)

[2] ATC会議公式サイト

[3] 科研費プロジェクト #21K11870

[4] 科研費プロジェクト #24K14918