博士後期課程2年翁偉浩(ウェン ウェイハウ)、指導教員朱欣先生(※1)および福島県立医科大学との共同研究者が書いた論文「FEES-IS: Real-time Instance Segmentation of Flexible Endoscopic Evaluation of Swallowing」は、EUVIP2023(※2)学会で高い評価を受け、最優秀論文賞を受賞しました(※3)。耳鼻科内視鏡により嚥下性障害の自動解析手法に関する論文です。肺炎で死亡した70歳以上の日本人は86.7%が嚥下性肺炎で亡くなったため、嚥下障害の診断は非常に重要です(※4)。
「The European Workshop on Visual Information Processing(EUVIP)」は、ヨーロッパで影響力が大きい、世界的に評価されている国際学会です。この学会の目的は、人工知能、コンピュータビジョン、パターン認識、特徴抽出、および可視化の分野における研究の発展を促進することです。
受賞された論文の第一著者の翁さんは、2021年に会津大学大学院からコンピュータ理工学の修士号を取得しました。現在、同大学院で博士後期課程に在学中で、2024年9月に修了する予定です。現在、興味を持っている研究は、医療画像処理、画像によるインターベンション療法、および深層学習で、特に医療専門家のために深層学習の解釈性を向上させることに焦点を当てています。さらに、ResearchGateにより(参照:https://www.researchgate.net/)、2021年に発表された「INet: Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation」という論文は、会津大学に所属する第一著者で発表したすべての論文において2022年度に最も引用された論文で、2023年9月時点まで226回引用されました。
翁さんからのコメント:"私は学生としてこの最優秀論文賞を受賞できたことを非常に光栄に思っています。この賞は私と私たちのチームにとって非常に意義深いものであり、私たちの手法をさらに広め、他の人々に貢献できる機会を提供したいと思います。両親に心から感謝したいと思います。裕福な家庭ではありませんでしたが、彼らのご支援により、アルバイトをしなくても研究に集中することができました。また、私の指導教授である朱先生に最も深い感謝の意を表明したいと思います。学術的ご指導を受け、各医療プロジェクトに参加させるチャンスを提供していただきました。そのもとで学び、幸運でした。さらに、福島県立医科大学の今泉光雅先生に貴重な医療データと適切な医学的な指導を提供していただき、感謝の意を表します。さらに、ノルウェー科学技術大学でインターンシップを提供して頂いた趙強福先生とFaouzi Alaya Cheikh教授に深く感謝いたします。これらの経験は私の視野を大きく広げ、国際的な研究者と研究することを経験しました。最後に、会津大学のすべての先生とスタッフに感謝したいと思います。特に学生課のスタッフと陳文西先生からのご支援にも深く感謝します。"
朱先生からのコメント:"私たちの研究成果がEUVIP学会優秀論文賞審査委員会の専門家から高く評価され、最優秀論文賞を受賞できたことを非常に嬉しく思っています。EUVIP学会の最優秀論文賞は非常に競争が激しいものでした。前年の最優秀論文賞はアメリカアップル社のチームが獲得されました。そして、今年の最優秀学生論文賞は、スイス連邦工科大学からの博士後期課程学生が受賞しました。同大学と東京大学はQSワールド大学ランキングがほぼ同じレベルです。共同研究の福島県立医大の先生らもよく励まされ、システムを完璧にするため、より積極的に関連のデータを収集しています。臨床試験の実施も検討しています。"
(※1) 朱 欣 上級准教授
(※2)EUVIP2023
(※3)受賞者一覧
(※4)嚥下性肺炎に関する統計結果
Teramoto S et al. Journal of the American Geriatrics Society (2008)