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2025年4月2日(水)、2025年度入学式が挙行されました。

 学部生244名、博士前期課程102名、博士後期課程8名、合計354名が本学への入学が許可されました。

 式では、束原学長の入学許可の宣言、式辞があり、来賓を代表して福島県知事、福島県議会議長、会津若松市長から祝辞をいただきました。その後、入学生を代表して高島汰希さん(コンピュータ理工学部)、室田彩夏さん(博士前期課程)が宣誓を行いました。

入学式の後には、学部入学生全員での記念撮影が行われ、各サークルの勧誘活動も行われました。

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式辞

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学部244名、博士前期課程102名、博士後期課程8名、合計354名の皆さん、御入学おめでとうございます。会津大学の一員として新たな一歩を踏み出す皆さんを、本学は大きな喜びを持って歓迎いたします。

 さて、AI、ビッグデータ処理、IoT、自動運転などの言葉を見かけない日がないほど、これらは、既に私たちの日常生活に不可欠なものとなっています。これらの技術が、正に皆さんが本学で学ぶ情報通信技術ICTです。今日、ICTはコンピュータや通信技術に留まらず、日常生活から最先端医療、さらには宇宙開発に至るまで、生活を豊かにするだけでなく、未来を切り拓くために必要不可欠なものとなっています。特に2024年のノーベル物理学賞と化学賞が共にAIに関連する研究成果に贈られたことは、AIにより基礎科学分野においても大きな地殻変動が起きていると同時に、社会全体へのインパクトが、計り知れない大きさになりつつあることを印象付けました。

その中にあって、本学は開学以来、世界中から集結した優秀な教授陣と学生たちが、様々な形で成果を上げ、近年では国内外の評価が急速に高まり、情報分野以外からも注目を集める存在となっております。

その例として、AIを活用した熊などの害獣対策といった地域に密着したものから、最近では、小型月着陸実証機SLIMに搭載したマルチバンド分光カメラによる画像撮影とその解析が挙げられます。このプロジェクトには本学の教員が参加するなど、宇宙規模でも活躍しております。

 さて、科学技術の進展やその時代の社会情勢に伴い、個々人に要求される知識やスキルは変化しています。しかし、学ぶ側の学習プロセスは大きく変化せず、普遍的なものがあると私は考えております。

 ノーベル賞作家の大江健三郎氏は、学びのプロセスとして三段階を挙げています。それは、「知る」「分かる」「さとる」です。『教わって「知る」、それを自分で使えるようになるのが「分かる」、そのようなプロセスを繰り返し深めるうちに、初めての難しいことも自力で突破できるようになる。それが「さとる」ということ』と大江氏は述べています。新しいものを生み出す研究活動は、まさしくこの営みの連続であり、私自身、学生生活、そしてこれまでの研究者生活を振り返り、このプロセスの重要性を実感しています。

 ICT分野の技術進歩は目覚ましく、生成AIなどは急速に社会に浸透しつつあります。皆さんには、「知る」「分かる」「さとる」を基本に、物事の本質に迫る学習をしてほしいと思います。

学びには、努力と忍耐が必要です。学びの向こうに自らの未来が開けることを信じて日々の勉学に励みながら、夢を持って知性と人間性を磨いてください。

最後に、皆さんが幅広い教養と国際感覚を身に着け、グローバルに活躍できる人材に成長されることを期待し、私の式辞といたします。

本日は、御入学、誠におめでとうございます。

2025年4月2日

会津大学 学長 束原 恒夫