2025年3月21日(金)、会津大学講堂にて2024年度春季学位記授与式を執り行いました。
コンピュータ理工学部卒業生211名、大学院博士前期課程修了生57名、大学院博士後期課程修了生13名の計281名が、それぞれの進路で社会へ羽ばたきました。
授与式では束原恒夫学長の式辞の後、福島県知事、福島県議会議長からの祝辞があり、在学中に優秀な成績や研究成果を残した学生が表彰されました。次いで、学部卒業生代表の小林凌士さんが答辞を述べました。
<学生表彰>
学長賞 | 栗林 世瑠(学部) |
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NGUYEN Van Tinh(博士前期課程) | |
優秀賞 | 小林 凌士(学部) |
数又 悠真(学部) | |
國分 虎海太(博士前期課程) | |
電子情報通信学会東北支部表彰 | 早藤 史明(学部) |
情報処理学会東北支部学生奨励賞 | 深井 元(学部) |
電気学会東北支部優秀学生賞 | 鈴木 温大(学部) |
計測自動制御学会優秀学生表彰 | 村上 達也(学部) |
公益財団法人会津地域教育・学術振興財団表彰 | 德田 龍輝(学部) |
本日、学位記を授与される学部211名、大学院博士前期課程57名、大学院博士後期課程13名の皆さん、おめでとう。大学を代表して心からお祝いを申し上げます。
そして、ご家族を始めこれまで皆さんを支えてこられた方々の喜びもひとしおと思います。関係者の皆様のこれまでの御尽力に深く敬意を表したいと思います。
会津大学は、開学以来、コンピュータ理工学専門の大学として、国内外から学生が集い、国際社会で通用するコンピューターサイエンティストや、情報通信技術の高いスキルを備えたエンジニアを多数輩出してまいりました。今年も、最先端技術を修得し、期待を胸に世界に羽ばたいていく皆さんを送り出せることを大変うれしく思います。
さて、我々は、東日本大震災と原発事故、新型コロナウイルスの世界的蔓延、そして昨年の能登半島地震などの災害だけでなく、生成AIの出現など、これまでにないほど社会の変化を実感する、未来予測が難しい時代に生きています。特に2024年のノーベル物理学賞と化学賞が共にAIに関連する研究成果に贈られたことは、AIにより基礎科学分野においても大きな地殻変動が起きていると同時に、社会全体へのインパクトが、計り知れない大きさになりつつあることを印象付けました。
これから先皆さんは、解決困難な課題や大きな壁に直面することがあると思いますが、それを乗り越えるための重要な能力の一つに「ネガティヴ・ケイパビリティ」があります。これは、19世紀の英国の詩人、ジョン・キーツが最初に提唱したものといわれ、「答えの出ない事態に身を置いて耐えうる力」、あるいは、「性急に答えを求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」と言い換えることができます。
少子高齢化、地方創生、激甚化する災害からの復興など、社会・経済のあらゆる分野で、正に答えの出ない課題を解決するためには、本学で学んだ最先端の技術と修得した能力が生涯にわたっての基本となります。ぜひ皆さんには、これらの知識とスキルを土台に、これからも日々の実践から「ネガティヴ・ケイパビリティ」を鍛えることで、物事の本質を見極める力を育むとともに、皆さんの人生、そして社会がより豊かな方向へ進むよう、努力し続けることを望みます。
会津大学は、先輩方の活躍により、日本だけではなく世界からも注目される大学に成長しました。今後の皆さんの活躍が、母校である本学の地位を高める原動力にもなります。
これからも、様々な分野の方々と積極的に交流しながら、ここで得た知識を深め、友人・恩師との人間関係を強化し、自ら進化を続けていくことを願っています。
結びに、皆さんが未来の豊かな世界を創る人材として大いに活躍してくれることを期待して、私の式辞といたします。
本日は、誠におめでとうございます。
2025年3月21日
会津大学 学長 束原 恒夫