計4名の参加者より報告書の提出がありました。

カールスルーエ応用科学大学(ドイツ)(水谷 祐貴さん/学部3年時留学)

pic1.jpg私は、ドイツのカールスルーエ応用科学大学(以下HKAと記載)に2024年9月から半年間、中期留学に参加しました。しかし、いわゆるキラキラしたものではなかったように感じます。

留学期間全体を通して、体調が良くなかった

私は、持病が悪化してしまうと体調を崩してしまったり、疲れやすくなったりしてしまいます。そのため、定期的な通院と薬の服用が欠かせず、留学出発直前に日本で診察を受け、薬も十分に持参しました。それでも、恐らく新しい環境でのストレスの影響で、留学直後から持病が悪化してしまいました。結局、ドイツの病院に通い、症状の改善に努めることになりました。この経験を通して、私にとって海外に住むということは、持病のことを考慮しなければならないと再認識することができる良い機会になりました。

理想と現実のギャップに苦しんだ

例えば、ドイツ語は想像以上に難しく、留学前にもっとしっかりとドイツ語を勉強しておけば良かったと何度も後悔しました。そして、英語も思ったように話せず、聞き取りも上手くできず、日本語であればできるはずの会話のキャッチボールが、英語では上手くできませんでした。英語が上手く聞き取れなかったので、寮の同じ階に住む人たちと会うのも怖くなりしました。ホームシックも重なって部屋から出られないこともよくありました。自分自身と他の留学生や友人と比較してしまい、私は、何度も落ち込みました。

今回の苦労が、今後、必ず役に立つ

具体的には、半年ごとにアメリカやHKAを含むドイツの協定校から科目等履修生や特別聴講生として会津大学に来ます。彼らも日本語に苦戦していたり、ホームシックになることもあるでしょう。私が今回海外に住むという大変さを経験したからこそ、彼らに共感して接することができるようでしょう。

率直に良かったこともたくさん

中国・韓国・台湾からの留学生をはじめ、たくさんのかけがえのない素敵な友人に出会えたことは、留学をして本当に良かったです。中には、日本語が話せたり、日本のことが大好きだったりする友人もいました。彼らとご飯を一緒に作って食べたり、旅行したりと本当に楽しかったです。pic2.jpg

ドイツ国内について多くのことを知った

例えば、ドイツでの教育についてです。会津大学とは違い、HKAは博士課程を持たず、理論よりも実践的な教育を重視しています。そのため、正規生が卒業するには、インターンシップが必須となっています。私自身は、ドイツでインターンシップをする機会はありませんでしたが、このような環境が、自分に実践的な能力が足りていないとの気づきを与えてくれました。そして、ドイツの大学生の英語力が非常に高く、いい刺激になりました。また、勤勉なイメージのドイツとは裏腹に、ドイツでは電車がよく遅延します。他にも、ドイツでは日本よりもワークライフバランスを重視していました。これは、私がドイツについて好きな面の一つです。

留学中に日本の魅力に改めて実感

例えば日本のご飯は本当に美味しいです。日本で外食しようと思ったら今でも場合によっては1200円あれば足りることもあるでしょう。しかしドイツではレストランで食事をすると、2000円以上かかることも珍しくありません。また日本の外食は色々な種類の選択肢があります。留学中に再認識した日本の魅力は他にも多々ありますが、これらは留学を経験しなければ気づかなかったかもしれません。

辛いことも多かった留学ですが、半年間ドイツへ留学できて本当にためになりました。改めて、会津大学とHKAの関係者の皆様、そして支えてくださった全ての方々に感謝いたします。本当にありがとうございます。

オストバイエルン・レーゲンスブルク応用科学大学(ドイツ)(酒巻 杏璃さん/学部3年時留学)

IMG_5016.JPG私は、ドイツの南部に位置するレーゲンスブルクという街の大学に留学しました。この街はユネスコ世界遺産に指定されており、学生が多く住む街です。ビルや教会、橋何一つとっても歴史的な趣のあるとても綺麗な街だと思います。下記にそれぞれの項目ごとにもっと詳しく書いていきます。

大学生活

OTHはレーゲンス大学と繋がっており二つの大学の設備や授業にアクセスすることができます。科目履修については、さまざまなコンピュータサイエンス科目から言語クラス、他のフィールドのクラスも選択することができます。言語クラスでは、さまざまなドイツ語レベルに合わせて文法に特化したクラスから、発音に特化したクラスまで選択することができます。最初は他の学生のレベルについていけず辛かったけれど、ドイツ人の友達に聞いたり、授業を履修している子と一緒に学んでいくことで、だんだん楽しくなりました。また、授業の後は大学にある図書館で課題を行うことができます。
OTH大学だけではなくレーゲンスブルク大学の図書館も使用することができるので、合計5つ以上の図書館を使用することができます。ただし、注意点として、ドイツの図書館はほぼどの時間帯も満員であり、早めにいくことをお勧めします。また、バディープログラムに申請することができ、留学生はバディー1人名を持つことができます。彼らは、留学生の生活のサポートから、履修登録に関することも優しく教えてくれるため、初めての長期留学をした私にとってはとても心強い存在となりました。

大学でのイベント

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OTH大学では、ほぼ毎週留学生同士のイベントから大学全体のイベントが開催されています。積極的に参加することで友達をつくる良い機会となりました。また、イベントを通してレーゲンスの街を散策したり、他の街に行くこともでき、ガイドさんに街の歴史やお勧めスポットなどを教えてもらうことができます。12 月ごろには各国の紹介イベントもあり、私は他の日本人学生と3人で日本の折り紙文化や早口言葉、着物などについてプレゼンをしました。

授業

こちらの大学で一番衝撃を受けたのは、授業内容についてです。会津大学では、論理に特化した授業が多いイメージですが、こちらの大学は授業内でアプリを作成したり、pythonを用いて実際に成果物を作成したりと実践に特化した授業を履修することができます。私は、このクラスの履修内容に興味を持ち、現在でも個人で勉強しています。

まとめ

今回の留学を通して今までなかったものの見方やとても広いものの考え方を持つことができました。いろんな国の学生と会話していく中で、私の考え方はとても狭いものだったんだなと思うことが多々ありました。現地でできた友達と一緒に勉強していく中で、新しいモチベーションができ将来海外で仕事をしたいと改めて実感しました。大学生活でドイツ留学に参加することを選択して本当に良かったと心から思っています。

オストバイエルン・レーゲンスブルク応用科学大学(ドイツ)(松下 稜さん/学部3年時留学)

ドイツに足を踏み入れた瞬間、私は外国人となった。私は国際化を推進する会津大学で様々なプログラムに参加し、多様な背景を持つ人々と時間を過ごしたが、それはただの交流に過ぎなかった。海外で生活する日本人の現実を、私は何も知らなかったのだ。pic2.jpg

 単民族国家の島国に住むマジョリティとして生きてきた私にとって、異文化の洗礼は刺激的だった。バスに乗ればアジア人というだけで差別を受ける。細められた瞳、突き刺さる侮蔑の視線。時には乗車を拒否される。80年前の過ちを反省したドイツは変わったと信じていたが、それは幻想だった。黒人差別は過去のものとなっても、透明化されたアジア人差別は透明な刃として依然存在している。
 他人種に囲まれた孤独感は、今も私を苛む。日本車のエンブレムを見た瞬間に湧き上がる郷愁の念。正直、ドイツの食事も口に合わない。ケバブやピザばかり食べている。

 地域の剣道場で週に数回、現地の社会人と稽古をしている。武道の奥深さを伝えるとき、日本特有の円を意識する身体操作や、心構えを示す残心などの要素は、文化的な背景を共有できない彼らにとってその真髄を理解してもらうのは難しい。
 同じ顔、同じ嗜好、同じ常識。その一体感は、奇跡に近い。人種や言葉の壁を越え、文化の共有こそが心の拠り所だと、異国で悟った。
 道場で剣を交えるうちの1人は、アルバニアから20年前に移住してきた麻酔科医。彼とは、ファストフード店で移民としての苦悩や葛藤を語り合う仲だ。ポテトの揚げ上がりを知らせるアラームがけたたましく鳴り響く店内で、彼はドイツ生まれの息子を交え、移民から見たドイツ社会を解説してくれる。
pic1.jpg 移民問題の最前線を進むドイツ。ナチス時代の反省から極右思想を封印してきたドイツは、リベラル政権下で多くの移民を受け入れてきた。しかし、その結果、経済は疲弊し、ロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかける。レーゲンスブルクやベルリンが位置する東部ドイツを中心にAfD(ドイツのための選択肢)の支持が急拡大している。
 クリスマスマーケットやデモで車が暴走し、死者が出る事件が頻発する。外務省からのメールに怯える日々。この混乱は、日本の未来を暗示しているようで、私を不安にさせる。個人の権利を尊重するあまり、集団が軽微な被害を被ることが頻繁に起こる。主要空港のストライキに巻き込まれたのもその一例だ。

 弊学の学生たちには、ぜひ1ヶ月以上の留学を経験してほしい。私が言うのは自分探しのような病気じみたものではない。単純に日本とは異なった常識の中で暮らして欲しい。知識としてだけではなく、実際に差別を体験して胸に込み上がる悔しい気持ちを理解する、雄大なドナウ川の水を手で掬い上げる、第二次対戦の爆撃を逃れ1500年以上建ち続ける傷だらけの壁に手を添える。知識だけでは得られない学びがあるはずだ。そもそも経験すること自体に価値がある。コロナ禍以降、遠隔でなんでも済ませるようになってきたが、そんな風潮に侵される現代こそ、実際に目で見て肌で感じる経験をすべきだ。

 会津に帰ったら、出会った外国人に優しく接し、彼らの文化に優しく寄り添いたい。そして、真っ先に寿司を食べたい。

オストバイエルン・レーゲンスブルク応用科学大学(ドイツ)(Sai Jashanさん/学部3年時留学)

私はドイツのレゲンスブルク工科大学での留学プログラムに参加することを決めました。自分自身を挑戦し、コンフォートゾーンを超えて成長するためです。このプログラムと国を選んだ理由は、新しい言語や文化、学問の環境に身を置くことで、自己成長やスキル向上の貴重な機会が得られると考えたからです。OTHでの時間を振り返ると、私の経験は非常に充実したものとなり、変革的なものであったと自信を持って言えます。ビザの取得手続きや保険手続き、寮のルールや新しい生活様式に適応するなど、どのような困難にも、新たなライフスキルを育む機会があり、視野を広げることができました。

pic1.jpg留学を成功させるために、私は、ドイツに出発する1年前から自由時間を利用してドイツ語を独学で学び始めました。この準備が功を奏し、現地の人々とコミュニケーションを取り、ドイツのクラスメートと親しくなり、文化を深く理解するための助けとなりました。ドイツに到着後、学内外で提供される多くの無料言語コースを利用しました。これらのリソースのおかげで、ドイツ語力は大きく向上し、現在はCEFR(共通ヨーロッパ言語参照枠)でB1レベル、つまり日本語能力試験(JLPT)のN3に相当するレベルに達しました。さらに、ドイツ語で行われる「Web-Engineering」コースを受講することができました。外国語で授業の議論に参加し理解することができたことは、ドイツ語をさまざまな場面で使用することができるという自信を深めました。

OTHでの時間を通して、アフリカからスカンジナビア、アジアに至るまで、さまざまな大陸や国の学生たちと友人になることができました。私たちは、お互いのストーリーを共有し、耳を傾け合う中で、多様性を受け入れ、柔軟な心を持つことの重要性を学びました。彼らの成果や、ドイツを留学先に選んだユニークな理由には深く感銘を受けました。キャンパス外でも、よく一緒に料理をしたり、食事を楽しんだり、金曜日には集まってお祝いしたりしました。私のヨーロッパの友人たちは、彼らの国々を私に紹介したいという熱意を持っており、そのおかげでオーストリア、イタリア、スイス、フランス、スウェーデン、デンマーク、ルーマニア、スペインなどを旅行することができました。これらの旅行では、さまざまな文化を発見し、地元の料理を楽しむ貴重な機会を得ました。

ドイツと日本はどちらも高品質な製品で知られる主要な輸出国であり、この点も私がドイツを選んだ理由の一つです。私はドイツにおける日本の「ものづくり文化」に相当するものを探求したいと考えました。工場を訪れ、ガイド付きのツアーを通じて、ドイツの最新の持続可能性やグリーンエネルギーに関する動向について学び、革新と文化の交差点についての視野を広げることができました。

pic2.jpg文化的な経験に加えて、私はOTHでの学問の機会も最大限に活用しました。ここで取得した単位は、私の母校である会津大学によって認定されました。ドイツではプログラミングの授業に加えて、ビジネスやファイナンスの授業も受けたかったのですが、ICTの授業とのスケジュールの都合で、コア科目を優先せざるを得ず、残念ながらビジネスの授業を履修できませんでした。

ヨーロッパの教育スタイルに適応するのも一つの挑戦でした。教授陣の期待や指導方法は、アジアで慣れていたものとは異なり、例えば、ある教授は毎日2~3つの課題を宿題として出し、最終試験を受けるためにはこれらを必ず提出する必要がありましたが、これらの課題は最終試験の評価に含まれませんでした。この点は、会津大学のシステムとは異なり、会津では教授が課題に対して評価を行い、その成績が最終試験に含まれていました。また、会津の四半期制からドイツの学期制に適応するには、時間と忍耐が必要でした。

結論として、OTHでの留学経験は非常に目を開かされるものでした。意味のあるつながりを築き、新しい興味を発見し、素晴らしい場所を探訪し、数多くのプログラミング課題に取り組んだことで、私は個人的にも学問的にも成長することができました。プログラミングスキルの向上や異なる教育スタイルへの理解が深まっただけでなく、文化の違いに気づかされるような挑戦にも直面しました。特に印象的だったのは、仕事と生活のバランスの違いでした。日本から来た私にとって、ドイツでは健康や余暇が優先され、ほとんどの店が週末に閉店し、午後5時には営業終了することに驚きました。この経験は、仕事への献身と健康や個人の時間の価値のバランスを取ることの重要性を教えてくれました。

この貴重な機会を与えてくださった会津大学とOTHレゲンスブルクに心から感謝申し上げます。また、留学を考えている他の学生たちにも、ぜひ、このような経験をしてほしいと強く勧めます。留学を通して、人生を豊かにする貴重な洞察を得ることができました。