-- ヒトの時間, 宇宙の時間 --
僕らは有限の時間のなかを何も見えずに歩いている.
それがいつ終るかも知らされぬまま.
そしてそのなかで, 時として遠い過去や無限の未来に思いを馳せることもある.
それが意味することもよくわからぬままに......
宇宙の時間は無機的な, あまりにも無機的な機械のようだ.
一瞬の過去は, その全情報を次の未来に引き渡す. その情報こそが, 未来を決める鍵となるのだ.
そして未来が作られて現在になった瞬間に, 過去は消滅する.
過去は一切必要ない, それは現在を作るためにかつて存在したもの.
そしてこの現在も, 一瞬の後に過去となって崩れていく...... それが宇宙の時間.
止まることのないつめたい営み.
僕らは有限の時間のなかを何も見えずに歩いてきた.
けれども, ほんの僅かだが過去を覚えている.
また, ほんの少しの未来を予知していく.
この記憶と知能のために, 僕らの現在(いま)は宇宙におけるような一点ではなく,
少し広がりを持っている. その小さな広がりのなかに,
僕らの全てが含まれていく.
それは小さいかも知れないが, つめたい宇宙よりは, 意味がある時間ではないだろうか?
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