-- 感傷的二元論 --


一元論と二元論, このテーマでどれだけ多くの議論がなされたことだろうか. しかもいまだに意見がまっ二つに分かれている. 私は後者を, 少なくとも感傷的に後者を支持するものである.

言うまでもなく, 一元論(物理主義)とは, 全存在を物理的存在に帰着する考えであり, 二元論とは, それに還元できないなにものかの存在を認める考えである. ただここで注意すべきは, この物理的存在自体の完全な定義, 解明がなされていない, ということである. よって, これらの考えは, 決して明確な区別を持っていない.

しかしながら, 通常一元論のもたらす重大な帰結は, 我々の意識が, 肉体の死と同時に消滅するということである. 我々は経験上, 紛れもなくいつか肉体が死ぬことを知っているから, 一元論的には, 我々の意識はいつか消滅するということになる.

ここで意識がなくなるということを考えてみよう. 我々が眠っているとき, 夢を見ていることもあるが, そうでないときには意識がないと思える. あるいはまた, 強いショックを受けて, 一時的に意識を失うといったことも稀に見受けられる. だから, 意識がなくなることは, それほど珍しいことではない. けれども, 私は永久に自らの意識が失われることを, 受け入れ難いと思っている.

私は, 生まれる前の記憶は持っていない. だから, 死ぬことは, その状態に帰るのと同じことだ. だから理解できるはずだと言われるだろう. それでも, 受け入れることができない.

宇宙は遥か昔から存在した. そして遥か未来まで存続するだろう. そのなかで, 私の意識はわずか100年たらずの時間に小さく点るともし火に過ぎないのか. いつか訪れる死の後に, 私は私の経験を思い出すことさえできない. この私というものは, 永遠に宇宙に現れることはない. もう二度とこの感覚を, 持つことはない! ------ これを, どうして受け入れられるだろうか?

一元論と二元論, このテーマでこれからも多くの議論がなされるだろう. そして容易に結論は出ないことだろう. しかし私は後者を, 少なくとも感傷的に後者を支持するものである.

(つづく)

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97/05/21. .
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